
「私の使命はこれまでに作られた中でもっとも美しいバイシクル・ハブを作ることです」。
それが彼のミッション・ステイトメント。続けて、自らの夢について次のように表明しています。
「現代の自転車はさまざまなやり方で、世代を重ねるごとによりよいものになってきました。このことはけれども、より美しくなってきた、ということを意味しません。むしろ事実は逆です。私の夢は、過去の個性溢れるバイシクル・パーツが持っていた美しさを甦らせること。それを、現代的な技術と製作工程を用いて行いたいのです」。

肉抜きのない「ベーコン・スライサー」。
彼の名はCurtis Odom。米国はサンディエゴ郡ビスタ市を拠点に、ビンテージスタイルの、うっとりするような美しい自転車パーツを作っています。現在のところハブが主な製品のようですが、トラックナットやウィングナットもあります。

ウィングナット(手で回せるように羽根が付いたナット)も実に美しい。
こういうのはもう、好きな人は理屈抜きで好きなので、説明してもしょうがない世界かも知れませんが、宝飾品のようなエレガントさと、機械部品としての機能美が微妙なバランスで両立しています。美しいですが、けっして飾り物ではなく、これを持ってて乗らないのでは宝の持ち腐れのようにも思えます。

コースターブレーキハブも作っているようだ。
こういうアルチザン(職人)が、旧来の自転車産業とは切り離されたところから突然変異的に現れて、過去を未来へと繋ごうと活動し、その手仕事に(決して安くはない)対価を払う人物が米国を始め、世界各地に点在するという状況がとても面白いと思います。それは優れてインターネット的ですし、物づくりに目覚めている近年の米国らしい風景とも言えます。

ハリオV60ドリッパーを乗せて使うコーヒーメイカー。こういうセンスはいかにも現在の米国的。
Curtis Odom Vintage Style Bicycle Partsのハブはカスタムオーダー式。トラックハブかロードハブか、フランジはハイかローか、肉抜きの形は?などを選択して、自分好みのビンテージスタイルのハブを作ってもらうことができます。シマノやカンパニョーロの現在のカセットスプロケットに対応したハブにすることもできるようです。
昔のフレームに、ホイールはCurtis Odomのハブで組み、そこに最新のコンポをインストールしたりしたら、これは相当なドリームマシンです。涎。

カセットスプロケット用のハブ。これで現代的なロードレーサーも組める。
- メーカー
- Curtis Odom Vintage Style Bicycle Parts
- 価格
- トラックハブの場合で$495から