
Astral はカヤック用のPFD(ライフジャケット)でよく知られているブランドで、アメリカのホワイトウォーターカヤック(激流でのカヤック乗り)のシーンで中心的な役割を果たしているメーカーです。ホワイトウォーター系だけではなく、カヤックフィッシングなど、川におけるさまざまな使用シーンに応じたPFDのラインナップを展開しています。そんな Astral が出しているフットウェアが、この Brewer です。
※編集部注: 本稿は土屋智哉さんの談話をもとに、編集部が文章化しています。
基本的にはいわゆるウォーターシューズ。いわゆる水辺でもソールが滑りにくいというモデルですね。以前は Five Ten のステルスラバーを採用していたんですが、これはフリクション性能の高さはあるものの、ソールの減りが早いこともあり、2014年モデルからは Astral オリジナルのソールに変更されています。
水切れもすごくいい。インソールを省いて、ミッドソールに直接アッパーを縫い付けたりと、とにかく水を含みにくくすることに注力しています。アッパーはPFDと同じメッシュ素材を採用、水抜きのための穴もさまざまな箇所に数多く設けられています。かかとをつぶしてサンダルみたいに履くことができる仕様もオンオフ切り替えにも対応できるということで嬉しいですね。
そういうウォーターシューズに求められる機能を備えつつ、いろんなシーンで使えるオールラウンド性をコンセプトにしているのが Brewer のポイントです。いかにもウォーターシューズといった感じではなくて、普通のスニーカーに近いスケートシューズのようなデザインが魅力ですよね。カヤックであればアプローチにも使えるし、ポーテージ(船体を持ち運んでの陸路移動)にも使える。街でも履ける。ツーリングをする時、いくつもシューズを持って行ったら、やっぱり重いし邪魔になるんですよ。だから、これ一足でいろんなシーンをカバーできるのはすごくいい。海に行く時にサンダル代わりに、というのもぴったりだし、ハワイやカリフォルニア辺りの海外旅行なんかに使うのもイメージですよね。
オールラウンド性は高いですが、沢登りや登山にも対応するとは言いづらいです。ある程度のサポート能力はありますが、一般的な沢靴やトレッキングシューズに比べると確実に劣ります。ただ、ここ2、3年はトレランシューズのカテゴリーでもプロテクションがほとんどないベアフット系のものがトレンドをリードしていた状況もあわせて考えると、この Brewer がどこまで使えるかは、個々の判断で面白い部分があります。ホームゲレンデといえる自分のフィールドでどう使うか、パドルスポーツに限らず、水辺で遊ぶ人たちにとって本当の意味でのライフスタイルシューズになる可能性はありますよね。
個人的には気張ってない佇まいが好きです。うちのお店(Hiker’s Depot)で扱っているウルトラライトのギアも、いかにも登山用具といった物々しさがないし、そういうものを使って気張らずにハイキングをするのが楽しい。Brewer はそんなULのスタイルに通じる魅力があるし、そういうアイテムを、カヤックカルチャーに深くコミットしているメーカーが作っていることが最大の魅力だと思います。
- 製品名
- Brewer
- メーカー
- Astral
- 価格
- ¥13,000(税別)
- 国内取り扱い
- イニット
- 購入
- Hiker’s Depot ほか