
心拍トレーニングをやりたい。でも、いくつかの理由から見送っていた人も少なくないはず。
複数のデバイスが必要。胸に着ける心拍センサーがやだ。心拍数データをどう活用すればいいのかわからない。どうせ高いんでしょ?…などなど。
アディダスがまもなく発売するスポーツウォッチ miCoach FIT SMART は、そんなハードルを越えるための、ひとつの有力な答案になるかも知れません。
miCoach FIT SMARTは手首に着ける、「賢い」という方の意味でスマートな、心拍数モニター。最小限これだけ着けてランニングやフィットネスをすればよく、運動中に別のデバイスは必ずしも必要ありません。

裏蓋部分に光学式心拍センサーを搭載している。これはMio Global社とロイヤル・フィリップス社の共同開発によるもの。Mio GLOBALとアディダスはパートナー企業だ。
ざっくり言うと、次のように機能します――。
- トレーニング中に心拍数や心拍強度、スピード、距離、ストライドレートなどを手首で計測。
- そのデータを受けて、パーソナルトレーニングプランに合わせたコーチングを、LEDやバイブレーションを使ってリアルタイムにユーザーにフィードバック。
――というサイクルをトレーニング中に継続的に行うことで、効率的なトレーニングができるというものです。
トレーニング後は記録したデータを、専用のスマートフォンアプリ miCoach train & run(iOS / Android) に Bluetooth Smartでワイヤレス転送。今後のトレーニングプランに反映されるほか、FacebookやTwitterで仲間にシェアすることも可能。ユーザー個別の心拍数やレベル、目標に合わせたトレーニングプランの設定もこのアプリの中で行って、やはりワイヤレスでmiCoach FIT SMART本体に同期するようになっています。

miCoach train & run。左は運動データ管理画面。右はウィークリーゴール管理画面。
miCoachシリーズの製品ラインナップには、2013年11月にリリースされた miCoach SMART RUN という先行製品があって、そちらもやはり手首で計測する心拍数モニタを搭載した、より多機能なパーソナルトレーニングデバイスです。
そのSMART RUNと比較したときの、今回のFIT SMARTの特徴は、GPS機能とタッチスクリーン、Wi-Fiなどをゴソっと取り除いてしまったこと。新機能を盛るのではなくて、必要最小限の機能に絞ることで、より薄く軽くスタイリッシュに、また、手に入れやすい価格帯に落とし込むことに成功したのです。

ブラックモデル。ディスプレイにはペースが表示されているところ。前面のナビゲーションボタンで表示を切り替えられる。
ちなみに、厚さ12.17mm、重さ約47.0g(Small)で、geared編集部で一瞬手首に巻かせてもらった限りでは、質感のせいもあってかSMART RUNよりもかなり気軽な印象でした。価格は23,000円(税別)ですから、SMART RUNの半額ぐらいです。
それでいて、ランニングやフィットネスで使う上で必要な機能を満たしています。GPSがなくてもスピードや距離、ストライドレートなどは加速度センサーを使って計測することができます。移動経路は計測できませんが、前述のスマホアプリmiCoach train & run で記録でき、あとでFIT SMARTのデータと紐付けることができるそうなので、それで十分な人が大半でしょう。

個々のユーザーに最適化された心拍数ゾーンを左端のLEDが色で表示する。
ディスプレイも、心拍数、カロリー、距離、ペース、スピード、ストライドなどの数値を表示でき、心拍ゾーンはボディ左側4色のカラーLEDによって直感的に把握できるので、むしろ、とてもわかりやすいのではないでしょうか。

充電用のドック。
こうしてみてくると、miCoach FIT SMARTは、すぐれて現実主義的なデザインが施されたスポーツウォッチと言えると思います。すべてを小さなウォッチサイズに詰め込まなくても、足りないところはスマホ側にやらせてしまえばいい、という考え方です。どうせスマホみんな持ってるし、けっこうな割合でトレーニングのときも携帯してるでしょ?――と。同感です。
- 製品名
- miCoach FIT SMART
- メーカー
- アディダス
- 価格
- ¥23,000(税別)
- 発売日
- 2014年8月15日(adidas ONLINE shop)/2014年9月1日(全国のadidas直営店、全国のadidas取扱店の一部)