
積雪の多い山を歩くための道具というと、比較的斜度が緩やかで開けた場所ならスノーシュー。狭くて急な山道なら日本独自のワカン(輪かんじき)に、場合によってクランポン(金属製の爪)を組み合わせて、というのが日本での一般的なスタイルかと思います。ではこれは、新しい選択肢になれるでしょうか。
Snowfoot は、イタリアのメーカーが開発した新しい雪上フットウェア。「The first alpine snowshoe.(初めての山岳用スノーシュー)」というキャッチフレーズから読み取れるのは、これまでのスノーシューを斜度のきつい山岳地帯でも使えるように再デザインしたということ。その一方で Snowfoot の姿を眺めてみると、スノーシューとクランポンとワカンのいいところを融合したとも言えるデザインになっていることにも気づきます。
エキスパンドメタルのような網状の樹脂製デッキは、一瞬、え、こんなのでいいの?とも思わせますが、これによって雪上での強力な浮力を確保しているとのこと。ご覧のように一般的なスノーシューに比べてかなり短いわけですが、この網目のおかげで局所的に雪を押し固めることがないので、足をめり込ませないのだとメーカーは言っています。また体重を3方向に逃がすので、従来のスノーシューの半分の面積で同等の浮力を実現できるとも。
ちなみにこのデッキはGrilamid EMSという工業部品などに使われるナイロン樹脂のようです。

クランポンの歯がデッキの網目から下に付き出している。
また、網目のセルは立体的な歯止めの役割を果たし、雪上でのグリップに貢献しているそうです。さらに、裏面に貫通するステンレス製のクランポンが付いていて、これは前爪付の8本爪。堅い雪や氷、岩の上でのグリップを確保しています。

下りにも強いとアピールされています。
雪の上で軽快に動けることも特徴です。スノーシューのように前方移動に特化してデザインされたものと違い、あらゆる方向に簡単に動けるとのこと。
軽さにも触れておくべきでしょう。両足で1200g。これは通常のスノーシューよりもかなり軽量で、日本のアルミ製のワカンよりもさらに軽い数字です。
こうしたメーカーのアピールを見る限りでは、非常に魅力的な雪上フットウェアのように思われますが、なにしろ雪山で使う道具ですから細心の注意を払いながら、でもぜひとも試してみたいところです。
Snowfoot は Indiegogo でデビューした製品なので、現在はIndiegogoで出資した人たち向けに出荷中とのことですが、2015年2月中にはWebサイトでの直販が始まると告知されています。