
ソロ用の軽量ネイチャーストーブ(小枝などを燃料にするストーブ)にも選択肢が増えてきましたが、今回ご紹介するBonfire Stove(バンファイヤーストーブ)はフォーカスがちょっと変わっています。もちろん小枝などを燃料にすることもできるのですが、まずなによりアルコールストーブ――それもとりわけトランギアの定番アルコールストーブ――の能力を最大限に引き出すことを第一義に考えてデザインされているのです。
作っているのはTO THE FINISHという新しいブランド。店舗デザインのプロである長澤賢一氏が立ち上げました。

開口部のハンドルがステンレス。それ以外は純チタン製。
アルコールストーブの風防兼ゴトクとして使用可能なストーブということなら、他にもいくつか思い当ります。台形のチタン板4枚を組み合わせる構造という意味では、以前にgearedでもご紹介したMerkWaresのEmberlitと同様です。

分解して重ねるとフラットになるので、収納に便利。
でも、それらの製品がウッドストーブとしての用途が主であるのに対して、Bonfire Stoveはアルコールストーブを火力に使い、しかも給湯にとどまらずがっつり「調理する」ということにこだわっているのが特徴。
たとえば、アルコールストーブ上部からクッカーのなべ底までの距離が最適化されていることで、他の製品とアルコールストーブの組み合わせに比べて、より効率よく火力を伝えることができるとのこと。
TO THE FINISHでは、U社、V社の製品と比較実験をしたデータを提示しています。おそらく、U社はUNIFLAMEのネイチャーストーブ、V社はVargoのHexagon Wood Stoveでしょう。
このテストでは、気温31℃の室内環境下で、水温30℃の水300ccをスノーピークのチタントレック900に入れて加熱。95℃になるまでの時間を計測しています。各社製品とも、火力はアルコールストーブです。
結果は、図版のように、Bonfire Stoveが60秒も早かったとのこと。風のある環境だったり、気温が低かったりするとまた違ってくるでしょうから、これだけで一概には判断できませんが、アルコールストーブとの組み合わせで、高いパフォーマンスを発揮しそうだということは言えるでしょう。
また、Bonfire Stoveはチタン製の薄板で作られていますが、あまり極端な軽さは追求せず(198gだそうです)、むしろ重たいクッカーを乗せられるような強度を持たせています。25kgの鉄球を1時間置いてテストしたが、問題ないとのこと。
アルコールストーブの点火・消化、火力調整がしやすいように、出し入れする開口部の構造に配慮されているのも調理を想定してのこと。冒頭の画像のように、開口部を手前に開くと、ボトムプレートと同じ高さのアプローチができるようになっています。ここにアルコールストーブを引き出してきて、調整したり消化したりができるわけです。
デザイナーである前述の長澤賢一氏自身が野外料理が趣味であり、既存の製品とアルコールストーブとの相性に疑問を持っていたことが、Bonfire Stoveをデザインした動機。彼はアルコールストーブで、小型のスキレットやダッチオーブンを使うような料理もするのだとか。

炭を使ってじっくり煮込むような料理にも。
純粋に個人的な動機は、同じ思いを共有できる人に対してはむしろ強力にアピールするはず。Bonfire Stoveはそういう製品だと思われます。
- 製品名
- Bonfire Stove
- メーカー
- TO THE FINISH
- 発売予定
- 2014年11月
- 購入
- TO THE FINISHオンラインストア