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NEW BALANCE MT110とMNL574で、生活の中にシームレスにベアフットランを取り入れる

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NEW BALANCE MT110とMNL574で、生活の中にシームレスにベアフットランを取り入れる
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NEW BALANCE の MT110 はコアなミニマリスト向けのランニング・シューズで、アントン(トニー)・クルピカやエリック・スキャッグスなど、アメリカのトレイルランニング界で大きな実績を挙げてきた人たちが共同開発に携わっています。
特にトニーは、徹底したミニマリストとして知られていて、それこそランニング・パンツ一丁でトレイルを走るようなランナーです。ミニマル・スタイルのアイコンのようなかっこいい人物ですし、彼への憧れからこのシューズを選ぶ人も多いと思います。

※編集部注: 本稿は桑原 慶さんの談話をもとに、編集部が文章化しています。

これ以前に MT100 と MT101 というモデルがあって、MT110 はそれらの後継モデル。ここに至るまでに試行錯誤の歴史があります。たとえば、下のムービーには、トニーがシューズのソールを削るシーンが登場します。そして、既存のものから余分な部分をDIYでシェイプしていくという彼の発想をシューズに反映し、試行錯誤を重ねてたどり着いた、ひとつの完成形がこのモデルなのです。事実、トニーはこの MT110 に対してこのように発言しています。

“There’s nothing to tweak on them. All my tweaks were designed into them so there’s nothing to cut off, nothing extra.”
(調整するところは何もありません。私なりの微調整はすべてこのシューズに組み込まれたので、削るところも余分なところもないのです)

MT110のドロップは4mmで、かかとの低いモデルに位置づけられます。アウトソールは場所によって肉抜きされており、中足部はアウトソール自体がありません。インソールもなし。アッパーのシンセティック・レザーも大きなパンチングで軽量化されている。
この、アッパーに穴が空いているのが面白いところで、枝や岩に引っ掛けて裂けてしまうこともあります。これを使っているランナーは多かれ少なかれ、破いてしまっていたりします(笑)。でも、レザーの下に入った薄いメッシュが足をホールドしてくれますし、そのフィット感も良いので、意外とみんな破けても意に介さず、そのまま走っています。その感じもスタイルとして良いんですよね。もちろん、シューズの形状が変わるほど破れてしまったら問題ですが。

この MT110 を履いて、昨年「OSJおんたけスカイレース」に出場しました。このレースは標高1,000メートルくらいからスタートして、3,000メートルまで一気に登るものです。登った後に火口部分を回るいわゆるお鉢回りをし、今度は同じルートを2000メートルを一気に下って帰って来るのですが、かなり岩が多く、火口部分もアップダウンが激しい。
こういった岩場だと、薄くミニマルなソールでは厳しいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、路面の状況を足裏で感じながら走ることができるし(これをpreciseなフィーリングと表現するようです)、足で地面をつかんで走る感覚を得られるので、むしろ調子が良い。テクニカルでスピードの出るこのレースでMT110を選んだことは正解でした。
足の痛みは、正直なところ「慣れ」にもよります。ミニマルなものを履き続ければ、足が出来上がってくるし、衝撃の少ない着地方法を身につけるようになります。でも、ソールの厚いものを履いてきたランナーが、いきなりこれに履き替えて乱暴な走りをしたら痛いでしょう。僕も履きはじめは、ミッドソールむき出しの中足部で幾度と無く岩を踏み抜いて悶絶しました(笑)。

ランニングとは、自分と自身の肉体とのフィードバックの連続だと考えています。そこでフォームについて考えてみると、さまざまな路面状況で走るなかで、走り方の癖やランニング・フォームのまずさがあれば、それは体に返ってくる。例えば、体のどこかの部位が痛くなったりする。それを受けてフォームやトレーニング方法を改善していく――これを繰り返すことで、故障をしづらくなったり、同じエネルギーでより長く速く走れるようになっていくわけです。ミニマルなシューズは、このサイクルにおけるフィードバックがすごく得やすい。

ベアフットランニングのカテゴリーを切り開いたベアフット・テッドに関する、おもしろいエピソードがあります。彼はランニングの際にひざが痛むので、いろんなシューズを試し、300ドルもする衝撃吸収性の高いものも買ったけれども、結局最後は裸足にたどり着きました(この話は「Born to Run」に登場します)。
いろんなシューズを履いても痛みが改善されないのであれば、それはツールではなくて、体やランニング・フォームの方に起因していると考えた方が良い。そう考えた時、ミニマルなアイテムは、走ることによって自分の体がどうなるかがわかりやすい。もちろん、それゆえの痛みもあるけども、自分でいろんなことを実感しながら走る方が安心できるというわけです。

MT110 は、そういうミニマル・シューズの醍醐味を強く味わうことができる点がおもしろい。反面、決して誰に対しても優しいシューズではありません。とにかく地面の感じがダイレクトに伝わってきますから。でも、それが第一歩。地面からの衝撃を身体で受けすぎず、ランニングの推進力に代えるような着地方法や足の運びを自然と考えて実践するようになります。

MNL574

MT110 のような地面と足との距離が近いシューズでのランニングに慣れてくると、日常で履くものもミニマル寄りのものに変えたくなってくる人が多い(例えば、前足部の広いミニマル系のシューズに慣れてくると、実際の足の指も広がってきてつま先の狭い靴がフィットしづらくなったりします)。そんな欲求にぴったりとハマるモデルが、New Balance の MNL574 です。これは、New Balance のベアフット系ラインである Minimus のソールに、New Balanceの代表的なカジュアルスニーカー ML574 ライクなアッパーが乗っかった、ライフスタイルカテゴリーのシューズです。

もともと New Balance は、カジュアルシーンで支持されているスニーカーもとても多いブランドですが、MNL574 は、そういうメーカーのカラーを非常に上手く採り入れていると思います。これより先に発売された ML71 というモデルも、クラシカルな New Balance のアッパーに、Vibram の裸足系ソールを組み合わせたカジュアル・シューズでした。MNL574は、それをさらにポップに突き詰めていったデザイン性の高いシューズです。

もちろん、あくまでカジュアル・シューズですから、しっかり走りたい方がランニング専用に使うモデルとしてはおススメしません。それでも、散歩していて気分がいいからちょっとジョグしてみようかな……とか、そういう時には全然走れてしまう。試しに僕もこのシューズで15kmほどの通勤ランをしてみましたが、靴のフィット感、足裏の裸足感はとても良くて快適に走れました(と同時に通気性、ソールの耐久性はやはりランニング専用シューズの方が良いと感じました)。

僕のお店ではシリアスなトレイル/ランニング・シューズを多く販売していますが、基本的に、生活とランとの境界線をなくしていきたいという思いがあります。そういう意味で、MNL574 のシームレスな感じはすごく良い。普段履きに使うという意味ではデザインもポイントですよね。僕はブラックを履いているんですが、黒一色で統一されていてとてもクールです。お店に来る方も、特に女性の方はこのシューズのデザインを気に入る方が多いですね。

デザインの話ばかりしてしまっていますが、前足部の広いシェイプと薄いソールによって裸足感覚が得られ、歩いていても非常に気持ちがよいです。
それから、裸足系のランナーはサンダルや本当に素足で走るようになった結果、シューズに過度のグリップやフィット感を求めなくなる方も多いんですが、そういう方がこのシューズを見て「もう靴はこれで良いじゃん」とコメントしたこともあって、「走る際にシューズに何を求めるか?」ということを考えるって意味でも、このシューズを履いて走るってことは面白いと思います。逆に、ランニングをしない方が、この靴から走ることや裸足系のシューズに興味持つ、なんてことがあったら、それはとても嬉しいですね。

製品名1
MT110
製品名2
MNL574
メーカー
New Balance
価格1
9,975円
価格2
7,245円

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